福田麻由子「雨と夢のあとに」[2006.8.31]

とうとうこの日がやってきた。
毎回舞台に関しては、全く同じ演技ということはあり得ないのだけれど、
もうこの台詞を生で聞けないし、あの演技を生で見ることができないのだ
という思いを込めて見届けた。
目を瞑れば、様々なシーンや台詞が再現され、テーマソングが耳から離れず、
思わず涙しそうになる状態が続いている。
それもこれも、福田さんを起用してくれたキャラメルボックスの皆さん、
役者さん一同、その他関係者の方々、そして福田さんを推挙してくれた
テレビ朝日のプロデューサーさんに感謝するばかり。
そして、良席をキャンセルしてくれた方々、
早めに当日券とキャンセル待ちの受け付けを開始して下さったスタッフ各位にも。
本当にありがとうございました。
という気持ちと何らかの形で報いたと思わずにはいられなかった。
舞台版「雨と夢のあとに」の映画化、もしくは、
再テレビシリーズ化された際には、観にいくぐらいしかできないけれど、
出来うる限りのことはしたいと思った。
もし、福田さんがまた舞台に立つようなことがあれば、
できうる限り観に行きたいし、花束ぐらい持参できるようになりたい。
これから毎夏休み舞台に立ってくれれば、我が身を自省するよう機会に
なるわけだが、それは流石に自分本位過ぎるか。
次々回作の「少年ラジオ」でも子役を起用するみたいだし、
キャラメルボックスを微力ながらサポーターとして支えて行きたい。
過分な期待を寄せず、今公演を成立させたことへの感謝の気持ちを込めて。
私自身としては、次、福田さんに会うときには、福田さんのファンであることに、
負い目を感じないような存在に少しでも近づけるよう今から努力する。
そして、子役にどっぷり浸かった年月は、そう長くはなかったけれど、
もう今、この瞬間から子役やJrアイドル等を注視する生活から
完全に足を洗うことに決めた。
思えば、飯田里穂に転んで以来、Jrアイドルや子役の魅力に開眼したわけだが、
徐々に子役への関心が傾斜していくに従い、
どんどん子役ファンであることに葛藤を覚えるようになってきた。
Jrアイドルに関しては、そのファンが何をJrアイドルに求めているのか、
彼女ら自身もある程度了解し、割り切っている部分もあるだろう。
しかし、子役に関しては必ずしもそういうことは言えないし、
かつてチャイドルブームもあったけれど、
子役はそもそもJrアイドルのようなアイドルの延長線上にいる存在ではない。
Jrアイドルには、申し訳ないことに、希薄になりがちな負い目を感じるのだ。
ある種の共犯関係にない間柄というか、片務的な関係というか。
そういう存在であるからこそ、惹かれていったという側面も否定できないけれど、
やはり彼女らに相対する時は、その演技を純粋に楽しむというスタンスでありたい。
そして、そういうスタンスを取れる人間になりたい。
 振り返ってみると、世の中、正しいことなど何も無い。
これが今まで、いろんな事物に転んでは離れ、
傾倒しては遠ざかりしてきた結論だった。
会社や放送局が、不正をしたり、社会規範に反することをしようとも、
できうる範囲内で、子役やJrアイドルさえ、きちんと起用するのであれば、
全ては正当化され、「正しい」存在であると思うことにした。
ネット上等での評判がいくら芳しくなくても、
放送時間の関係や番組の趣旨、あるいは採算等、
企業側の論理を踏まえた上で子役やJrアイドルを
できる限り使おうとしている存在は、「正義」であると結論づけた。
正しいことなど、何も無いし、自分が把握しているような情報から、
本当の正しさなど導き出せないのだから、
自分の嗜好に沿って物事を実現してくれる存在こそ、「正しい」のだと信じている。
だから、NHKが、年間一定数以上、子役が出演したドラマの再放送を行い、
子役出演の新作番組を放映しさえすれば、受信料を払って良いと思っていた。
むろん、その条件をNHK側に伝えねばならないが。
レコード会社が、U-15のアーティストやアイドルのCD等を
できうる限りリリースし、新たにデビューさせさえすれば、
他の問題には目を瞑っても良いと思っていた。
そして、役者がどんな不祥事を過去に起こしていようとも、
子役が共演することで、その演技に感化を受け、
演技力を向上させる存在なのであれば、
むしろ歓迎しても良いほどだ。
不祥事のおかげで、その子役と共演できている側面も否定できないのだから。
もう、ネットやメディア等の騒ぎたい人達の価値観や
騒ぎ立てるための大義名分に過ぎないような正義感に
付き合う必要性はさらさらない。
自分の好きなものを自分が好む形で、できうる限り行ってくれる存在のみが、
正しく、そしてこういう存在に感謝し、その存在が永続するように、
何らかの形で支えることこそが、重要なことだと思う。
商品等をきちんと購入し、採算等に配慮し、無理なことは言わず、
きちんと感謝し、市場として持続するよう努めないとまずいことになる。
ネット網の発達により、無料で何でも手に入ると思っている人々が存在し、
企業側の負担ばかり増大し、市場が収縮してしまうのが一般的傾向だからだ。
好きなもの、見続けたいものは、きちんと正規の金銭を支払い、
その企業が定めるルールに従い個人的に楽しむ。
そして、それができるだけの経済力を持てるようにする。
これに尽きるように思う。
長くなったが、最後に、私の現在の「正義」は、
子役に対して純粋に演技そのものを楽しめる存在になることである。
そのためには、子役等のファンであることに依存し、
そこに自分の存在意義を求めるような生き方から脱却する必要がある。
私生活や仕事を充実させ、好きな子役は勿論のこと、
自分の娘や姪に尊敬されるような存在になることで、
私の正義は達成されるように思う。
そして、願わくば、一ヶ月半近く一人の子役が主役として
プロの舞台に立ち続けるようになった子役の現状が、
私が戻ってくる頃に、私が願う方向に発展し続けているように。